1.イントロダクション

ここではまず、「何のためにNDA(秘密保持契約書)を締結するのか?
ということについて改めて考えてみたいと思います。

遠藤が一番NDAについて質問されるのが、


業務委託契約の中にも秘密保持条項というものがあるのを
 よく見かけるが、NDAとの使い分けはどのように考えれば
 良いのか?」 

という点です。 


まず、NDAが締結されるときの場面を想像してみてください。

多くの場合、本格的に取引を開始する前ではないでしょうか?
例えば、

◆相手を評価するためにサンプルや仕様書を開示し合う。
◆相手の会社の実力を知るために詳細な財務諸表等を開示し合う。
◆共同研究をする前に相手方の技術資料を開示し合う。

と言った感じです。

更に言うと、本格的に取引をする前に相手を評価するSTEPに
おいてNDAを締結すると言えるかもしれません。

このNDAを締結しないで互いに秘密情報を開示し合った場合は
どのようなことが起きると思いますか?

恐らく秘密情報を開示し合った後に、相手方が業務提携しても
大丈夫だと判断し、業務委託契約や共同開発契約等を更に
締結するのであれば、冒頭に述べたとおり、秘密保持条項が
それらの契約書の中に規定されるのが普通ですのであまり
大きな問題にはならないかもしれません。


しかしながら、もし何かしらの理由で、
業務委託契約や共同開発契約等を締結することなく
そこで話が終わってしまったらどうですか?

相手に開示した自社の秘密情報を第三者(競合他社?)
に開示されてしまっても文句が言えない状況が起こり得ませんか?

そのような状況を防止するためにまずは、

=========================
本格的に取引をする前段階で、相手を評価するために
秘密情報を開示し合う前にNDAを締結する。
=========================

というケースがほとんどかと思います。


その他にはこれは稀なケースですが、

「業務委託契約書等の秘密保持条項では簡略化されすぎて
 不安が残る。」

という場合も業務委託契約書とは別にNDAを締結し、
業務委託契約書には、

秘密保持義務については2015年○月○日付で締結した
 NDAの規定に従うものとする。

とだけ記載するケースもありますのでご参考まで。
 

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2.開示目的(Purpose of Disclosure)

ここでは、開示目的(Purpose of Disclosure)
についてご説明します。

何もNDAで規定するのは第三者への開示禁止だけでは
ありません。

その他にも
==========================
本契約に規定する開示目的以外に使用してはならない!
==========================
と規定する場合がほとんどです。

よって、NDAの冒頭部分で、
開示目的(Purpose of Disclosure)
を規定するのです。

ここで開示者(=秘密情報を開示する当事者)と
受領者(=秘密情報を受領する当事者)の2つの
立場から検証して行きますね。
 

開示者の立場 

・本契約の開示目的の意味するところをできるだけ広く
 して、どんな情報でも自分の開示する情報は保護される
 ようにしたい。

例えば、
「新商品の開発について両当時者で技術情報を開示するため」
みたいなざっくりとした感じです。


受領の立場

・できるだけ本契約の開示目的の意味するところを狭く
 して、自分の秘密保持義務の負担を軽くしたい。

例えば、
「新商品TV型番2634号の開発について両当時者で技術情報を開示するため」
みたいにかなり具体的に限定した感じです。


もちろんあなたの会社はあるときには開示者る一方で他方では
受領者になることでしょう。

しかしそれでも、
=========================
どちらの当事者がどれだけ秘密情報を開示する見込か?
=どちらの当事者が開示者になることが多いか?
=========================

を事前に検討することが最も重要なポイントになります。

その上で、この開示目的を広く取るのか狭く取るのかが
決まってきますので、事前によく検討しておくことを
お勧めします。

◆条文例◆
 
Company A and Company B intend to disclose certain confidential
and proprietary information to each other for the purpose below
(hereinafter called "Purpose of Disclosure)

(Purpose of Disclosure)


         (上記を参考に開示目的を記入)_________________




 
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3.開示者(Disclosing Party)と受領者(Receiving Party)

ここでは、NDA特有の各当事者の定義についてご説明します。

通常、和文の契約書ですと例えば下記のような定義の仕方を
しますよね?

本契約は、A株式会社(以下、「甲」という) およびB株式会社((以下、「乙」という)
との間の取引に係る諸条件について定める。

当たり前ですが、甲はどのような場合にもA株式会社の事を意味し
B株式会社は乙で表されます。

ところがNDAにおいては 例えば下記のような定義の仕方を
します。

***********************************************
本契約において秘密情報を開示する当事者を「開示者」といい、
逆に秘密情報の開示を相手方より受ける当事者を「受領者」という。
***********************************************

従って、開示者が常に甲とは限らず乙の場合があるので注意が
必要です。さらに通常NDAの中では上記の開示者受領者以外に
通常の契約書でも使用される甲/乙も同時に使用されることが多い
ですのできちんと整理して間違わないように注意が必要です。


◆条文例◆

Section1:Disclosing and Receiving Party

For the purpose of this Agreement, the party disclosing any information
under this Agreement shall be called the "Disclosing Party" and the party
receiving any information hereunder shall be called the "Receiving Party" .


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4.秘密情報の定義(Confidential Information)

ここでは秘密情報(=Confidential Information)の定義
についてお伝えします。


■基本形

「秘密情報とは以下のような情報を言う。」と言った感じで
秘密情報に該当するような情報を全て列記する形式が
最も多いです。

◆条文例◆

“Confidential Information” means any information disclosed
by the Disclosing Party to the Receiving Party or to any of
the Receiving Party’s representatives relating to Purpose of
Disclosure (which disclosure may be made in writing, orally,
or in any other form) including, without limitation, designs,
models, product samples, trade secrets, know-how, inventions,
technical data, product ideas, business plans, investments,
and financial, managerial, personnel and environmental information. 


■応用編

2.開示目的の所でも触れましたが、開示者受領者では
それぞれ下記のような立場の違いがあります。 

開示者の立場 

・本契約の開示目的の意味するところをできるだけ広く
 して、どんな情報でも自分の開示する情報は保護される
 ようにしたい。


受領の立場

本契約の開示目的の意味するところをできるだけ狭く
 して、自分の秘密保持義務の負担を軽くしたい。


よって
========================
まずは、相手と自分とでどちらがどれぐらいの割合で
秘密情報を開示するのか? のチェック
======================== 
するのがSTEP1となります。

そしてもし自分が受領者の立場であることが多いのであれば
上記の基本形の条文の後に下記のような趣旨を追加することを
検討するのです。

書面で開示されたものについては「秘密である旨が表示されたもの」

 よく書類の隅に「Confidential」「秘密」「厳秘」などの表示がされている
 のを見たことがあるかと思いますがそれのことです。

 つまり、受領者の立場としてみれば、
 「秘密である旨が表示されたもの以外は秘密保持義務を負わない
 としてい訳です。

  開示する全ての秘密である書類に秘密である旨の表示をするのは
  かなり大変な事ですので、開示者がうっかり表示を忘れることもあります。
  それにより、受領者は「表示がなければ秘密情報とは言えないですよね?」
  と主張して少しでも自己の秘密保持義務の負担を減らそうという訳です。


口頭、映像で開示されたものについては、「開示日から30日以内にその旨を
 記載した議事録等で秘密である旨が確認されたもの

 秘密情報が口頭や映像等で開示されることも多いです。

 その場合は、後日議事録等で秘密情報が口頭や映像で開示された旨を
 記載した議事録を作成して両当事者で確認できたら秘密情報として
 取り扱いましょう、という趣旨です。

 これもかなり大変な事ですので、開示者がうっかり忘れることもあります。
 それにより、受領者は「議事録がなければ秘密情報とは言えないですよね?」
 と主張して少しでも自己の秘密保持義務の負担を減らそうという訳です。


◆条文例◆

If Confidential Information is disclosed electronically, orally or
visually, it shall be identified by the Disclosing party as confidential
at the time of disclosure and shall be confirmed as such by written
summary mailed to the Receiving Party within thirty (30) days of
the original disclosure.


また念には念を入れて「NDAを締結している事実やその条件」や「開示目的から生じた成果物」
さえも秘密情報と同等に扱い、第三者には開示してはならないとする例もあります。

◆条文例◆

1.  Receiving Party shall keep Confidential Information with duty of care and diligence of a good manager and shall not disclose (1) the fact of executing of this Agreement; (2) terms and conditions hereof (3) output to be generated from Disclosure Purpose and (4) Confidential Information, to any third parties without prior written consent of  the Disclosing party.  



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5.秘密保持義務の対象外となる情報

ここでは、秘密保持義務の対象外となる情報について
お話しします。 

NDAを締結したせいで何でもかんでも秘密保持義務の対象と
してしまうと両当事者にとって都合が悪いこともあります。

よって、下記のような情報については秘密保持義務の対象外
として規定するのが普通です。

1.     受領者が開示を受ける以前に自己において既に知得していた情報

2.     受領者が正当な権限を有する第三者から機密保持義務を負うことなく
         知得した情報

3.     受領者が開示を受ける以前に既に公知となっていた情報、または開示を
          受けた後に自己の責任によらず公知となった情報

4.     受領者が開示を受けた機密情報に基づくことなく独自に開発したことを
          証明できる情報

5.     受領者が正当な権限を有する第三者より守秘義務を負うことなしに
          入手した情報




◆条文例◆

【秘密保持義務の例外規定】

Notwithstanding the above, neither Company nor Agent shall have any obligation to keep confidential with respect to Confidential Information that:

(1) is rightfully obtained or will be obtained from a third party under
   no obligation of confidentiality; or
(2) is independently developed by either party without Confidential Information; or

(3) is already known to or possessed by either party prior to the disclosure
   of 
Confidential Information; or
(4) is already a public domain prior to the disclosure of Confidential Information; or
(5) becomes a public domain through no fault of either party; or
(6) is disclosed to attorneys, accountants, tax agents, patent attorneys or
   consultants who have an obligation of confidentiality by law or non-disclosure
   
agreement; or
(7) is disclosed legally by either party subject to the demand of
     government,
 governmental agency or law.

【法律や政府の要請により秘密情報を開示する前の開示者への通知義務】

In the event that the Receiving Party is legally required or requested to disclose Confidential Information subject to the demand of government, governmental agency, court, any administrative agency or any related authorities, the Receiving Party shall promptly notify the Disclosing Party of such requirement or request prior to the disclosure so that the Disclosing Party may seek an appropriate protective order or take lawful actions to avoid and/or minimize such disclosure.


【子会社等への開示許可および連帯責任】

2.    Notwithstanding the foregoing paragraph, the Receiving Party may disclose the Confidential Information to directors, officers or employees of the Receiving Party or its subsidiaries or affiliates, who have need to know, and are bound, whether as a condition of their employment agreement or otherwise by a written non-disclosure agreement at least equal in scope to this Agreement (hereinafter collectively the "Related Persons").

3.    With reference to the foregoing paragraph, the Receiving Party shall cause the Related Persons who receive Confidential Information to follow the obligation specified in this Agreement. Also, the Receiving Party shall remain liable for any breach of confidentiality, non-disclosure obligations or any obligations herein to be caused by the Related Persons including former directors, officers or employees of the Related Persons, its subsidiaries or affiliates.

 

 

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6.法令による開示および関係会社、弁護士等、その他への開示

一つ前の、「秘密保持義務の対象外となる情報」と非常によく
似ていますが、さらに、たとえ第三者であっても、「特定の相手」
対しては秘密情報を
開示しても良いとする場合も数多くあります。 

1.日本および諸外国における裁判所、行政機関、監督官庁その他の
    公的機関(証券取引規制機関を含む)から、法令、規則等法的根拠に
    基づく秘密情報の開示を求められ、これを拒む合理的理由が存在しない
  ケース

2.受領者の関連会社の役員(取締役、執行役、監査役)および従業員に
    秘密情報を開示するケース

3.弁護士、会計士、税理士、弁理士、司法書士またはコンサルタント等の
    職務上または契約により守秘義務を負っている専門家から助言をもらう
    ために秘密情報を開示するケース 


上記の場合は、開示者としても仕方がないとして合意する場合がほとんど
ですがそれでも受領者に対して下記のような開示条件をつける場合も多いです。

◆1に対する対応
  裁判所、行政機関、監督官庁に開示前に、予め開示者に通知する事

◆2,3に対する対応
  開示した相手にも本契約の趣旨および規定を守らせるようにし、それらに反して
  秘密情報を第三者に漏洩または開示目的以外に使用、複製または改変したこと
  により開示者に損害が生じた場合は、受領者は当該第三者と連帯責任を負うこと


◆条文例◆

【法律や政府の要請により秘密情報を開示する前の開示者への通知義務】

In the event that the Receiving Party is legally required or requested to disclose Confidential Information subject to the demand of government, governmental agency, court, any administrative agency or any related authorities, the Receiving Party shall promptly notify the Disclosing Party of such requirement or request prior to the disclosure so that the Disclosing Party may seek an appropriate protective order or take lawful actions to avoid and/or minimize such disclosure.


【子会社等への開示許可および連帯責任】

2.    Notwithstanding the foregoing paragraph, the Receiving Party may disclose the Confidential Information to directors, officers or employees of the Receiving Party or its subsidiaries or affiliates, who have need to know, and are bound, whether as a condition of their employment agreement or otherwise by a written non-disclosure agreement at least equal in scope to this Agreement (hereinafter collectively the "Related Persons").

3.    With reference to the foregoing paragraph, the Receiving Party shall cause the Related Persons who receive Confidential Information to follow the obligation specified in this Agreement. Also, the Receiving Party shall remain liable for any breach of confidentiality, non-disclosure obligations or any obligations herein to be caused by the Related Persons including former directors, officers or employees of the Related Persons, its subsidiaries or affiliates.

 

【弁護士等への開示許可および連帯責任】 

2.    Notwithstanding the foregoing paragraph, the Receiving Party may disclose the Confidential Information to  attorneys, accountants, tax agents, patent attorneys or
consultants who have an obligation of confidentiality by law or non-disclosure
agreement  at least equal in scope to this Agreement(Related Persons).

3.    With reference to the foregoing paragraph, the Receiving Party shall cause the Related Persons who receive Confidential Information to follow the obligation specified in this Agreement. Also, the Receiving Party shall remain liable for any breach of confidentiality, non-disclosure obligations or any obligations herein to be caused by the Related Persons including former directors, officers or employees of the Related Persons, its subsidiaries or affiliates.

 

 

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7.第三者開示以外の禁止事項

NDAの主たる目的は、「第三者に秘密情報を開示してはならない」
ということは疑いの余地がありませんが、実際には他にも下記のような
禁止事項を規定します。

・目的外使用の禁止
 「開示目的」で規定した目的以外の用途で使用してはならない
 ということを規定します。

・改変の禁止
・複製の禁止
・適用の禁止

◆条文例◆

Scope of Disclosure.

1.    Receiving Party shall not use, modify, copy or adapt Confidential Information
for any purpose whatsoever other than Purpose of Disclosure unless otherwise permitted in writing by Disclosing Party.


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8.秘密情報の返却、廃棄および紛失時の通知

ここでは、秘密情報の返却・廃棄および紛失時の通知についてお話しします。

NDAを締結して、秘密情報を相手に開示したとしても
下記のような場合はそれを返却または廃棄してもらいたいと
普通は考えるかと思います。

◆秘密情報を開示する元となるプロジェクトや研究開発が
 終わった場合

◆NDAが何らかの理由で契約終了となった場合

◆何らかの理由で開示者が秘密情報を受領者から返却・又は
 廃棄してもらいたい場合


受領者が使えなくなるという意味では同じですが、
秘密情報の種類によって「返却」または「廃棄」のいずれかの
手段を取ることが多いでしょう。 

また、厳しい当事者では、「本当に廃棄したことを証明するための
証明書」まで受領者に提出する旨をNDAに規定する事もあります。


また、「受領者による秘密情報の紛失」も開示者にとっては
一大事です。このような場合もすぐに受領者から開示者に
通知するように規定しておくことをお勧めします。

 

◆条文例◆

Return/Disposal or Loss of Confidential Information

1.  The Receiving party shall, at any time upon the Disclosing Party’s request or termination or expiration of this Agreement, return to the Disclosing Party or, subject to the instruction of the Disclosing Party, dispose of all copies of the Disclosing Party's Confidential Information and all other documents and materials incorporating the Disclosing Party’s Confidential Information in the possession of the Receiving Party
or the Related Persons.

2.    The Receiving Party shall give a notice to the Disclosing Party immediately
in case the Receiving Party or the Related Persons lost or is likely to lose Confidential Information.


 

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9.秘密情報の知的財産権(Rights of Confidential Information)

ここでは、秘密情報の知的財産権についてお話しします。

NDAを締結して開示者から開示される秘密情報は多くの場合
重要な知的財産である場合が多いです。

従って受領者がその知的財産権を侵害したり勝手に自己の
権利として登録申請したりすることは万が一でもないように
しなければなりません。

そこで、(当たり前のことですが)下記のようなポイントをNDAに
記載することが多いです。

・受領者は秘密情報が開示者の知的財産であることを認識すること。
・受領者は秘密情報の知的財産権を侵害し、その権利を争わないこと。
・受領者は秘密情報を自己の知的財産として登録申請しないこと。
・本NDAは秘密情報に係る知的財産権を受領者にライセンスするものではないこと。


◆条文例◆

Right of Confidential Information

Confidential Information is and shall always remain the exclusive property of the Disclosing Party, and the Receiving Party hereby acknowledges the right, title and interest of the Disclosing Party in and to Confidential Information.  The Receiving Party shall not at any time, apply or register as its own intellectual property right, infringe, contest, dispute or question such right, title or interest in respect of Confidential Information nor aid others in doing so, directly or indirectly.

All documents and materials incorporating or embodying Confidential Information shall remain the sole property of the Disclosing party. Nothing in this Agreement is intended for or shall be construed as a grant of a license or other right to the Receiving Party other than as expressly set forth herein.

 

 

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10.秘密情報に基づく発明の取扱(Inventions)

ここでは、秘密情報に基づく発明の取扱についてお話しします。

通常、発明の成果物の権利は、発明をした当事者に帰属するのが
当たり前です。

よってそれをどう使用・処分しようが勝手です。

しかし、その発明がNDAを締結した後に開示者が受領者に
開示した秘密情報に基づいてなされたとしたらどうでしょうか?


開示者の立場とすれば、「どうぞお好きに。。。」という訳には
いかないですよね?

従って、秘密情報に基づいて片方の当事者が何かの発明をしたときは、 
取りあえず他方の当事者に通知してその扱いについて協議するという
趣旨をNDAに規定しておくことがあります。


ちなみに、これはあくまでも暫定的な処置であり、
発明の具体的な諸条件について合意したら別途
書面にで合意しなければならないのは言うまでも
ありません。 


◆条文例◆

(f) Inventions

Both parties agree to inform each other of any inventions, developments or creations made in connection with Purpose of Disclosure or Confidential Information and shall have a consultation in respect of legal rights thereof such as patent or design application.

 

 

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11.非保証/非拘束条項(No warranty and binding)

ここでは、非保証条項(No warranty and binding)について
ご説明します。

ちょっとわかりにくいかと思いますが、
要するに、「開示された秘密情報自体の保証(例:品質や第三者の
権利を侵害していない等)まではしませんよ! 」という趣旨です。

あくまでもありのまま(as is)でお渡ししますので、それを使用して 
何か問題が生じても開示者は責任は取れませんということですね。

また、NDAは多くの場合、
ビジネスを正式に始める前に相手を評価するために
秘密情報を交換するために締結するものです。

よって、場合によっては、
「今回は御社とはご縁がなかったということで。。。」と
正式なビジネスに発展しないことだって当然あります。

しかしその通知をしたとたんに、
「NDAを締結したということは当然正式にビジネスを
 行うということだろうが??!」などと理不尽なことを
言ってくる輩が中にはいるかもしれません。

そこで念のため、
NDAを締結したからと言って必ずしも正式にビジネスを
 やると約束した訳ではありません!」 ということをNDAに
規定したのがこの条文です。 

 

◆条文例◆

 

No warranty and binding

Both parties acknowledge that all Confidential Information is provided on an "as is" basis without any warranty, express or implied and neither party shall be under any obligation to consummate a business relation, or to purchase the products or services of the other under this Agreement.

 

 

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12.契約期間と秘密保持期間

ここでは、NDAの「契約期間」と「秘密保持期間」について
ご説明したいと思います。


すでにご説明したとおり、NDAは多くの場合、
開示者と受領者が本格的なビジネスを始める前に
相手を評価するステージにおいて締結されることが
多いです。

そしてNDAを締結後に互いに秘密情報(例:仕様書、図面
サンプル、マニュアル、技術資料、成分表等々)を開示し合う
訳です。

従ってあまり長い契約期間に設定するのはあまり好ましく
ありません。

もちろんプロジェクトで取り扱う商品/サービスの性質等々
の様々な状況にもよりますが、多くの場合、3年〜5年ぐらいの
契約期間に設定することが多いかと思います。

但し、「秘密保持期間」について契約期間とは別の設定にする
ことが多いです。

これは、(ちょっと極端ですが)、例えば契約終了日の前日に
開示した秘密情報がその翌日に契約終了したからと言って
第三者に開示できるような理屈になると、開示者としては
都合が悪いからです。

従って秘密保持期間は契約期間とは別の設定にし、通常は
契約期間が終了してもある一定期間は秘密保持義務は継続する
ような規定にすることが多いようです。

◆条文例◆


Term

This Agreement shall come into force as of the date first above written and, unless earlier terminated, shall remain in force for a period of XXX(X) years.  The confidentiality obligation survives the termination or expiry of this Agreement for a period of XXX(X) years.


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13.損害賠償(Damages)と差止条項(Injunctive Relief)

ここでは損害賠償および差止条項についてご説明します。

通常、どの契約書でも例えば、「相手方の契約違反によって
損害を負ったときはその損害賠償を請求できる。」と言った
損害賠償(Damages)の規定を設けます。

そして、損害賠償請求だけでなく、
直ちにその違反行為をやめさせるように要求できる権利
(=差止請求:Injunctive Relief)も合わせて規定しておくことを
お勧めします。

 

通常、法律の規定(例;不正競争防止法等)でも差止請求の
規定があるのですが、万が一それらの法律の適用を受ける
ための要件を満たしていない場合は差止請求ができないリスク
がありますので、念のためNDAでも規定しておきます。

 

これがないと裁判が終わるまでの間にどんどん損害が
広がっていくリスク(例:Discloserの秘密情報が世界中に
広まっていく等)がありますので、まずは違反行為による
損害拡大を阻止するという趣旨です。


◆条文例◆

Damages and Injunctive Relief 

  1. If either party was damaged due to the other party’s breach or default of any provision hereof or by the termination specified in Article XX, the non defaulting party may claim the defaulting party damages thereof.
  2. The parties acknowledge that either party shall be entitled to injunctive relief against the other, if the other party breach any of its obligations hereunder.

 

 

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14.準拠法と紛争解決

ここでは、NDAに係る準拠法と紛争解決について
ごく簡単にだけご説明します。

もっと詳細な内容をお知りになりたい方は下記をご覧ください。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
裁判(Litigation)と仲裁(Arbitration)


NDAの交渉をしていて最後に揉めるのがこの項目です。
具体的に言うと、

どこの法律に基づいて本NDAを解釈するか?
紛争になった場合はどこで行うか?

の2点です。 

ここの考え方はごく単純で要するに、
「自分が慣れている法律と場所」でやるのが
良いのです。

例えば日本企業のA社と韓国の企業B社が
交渉している場合は、A社にとってみれば
日本国法に基づいて日本で紛争解決した
方が良いでしょうし、B社にとってみれば、
韓国法に基づいて韓国で紛争解決したいと
考えるのが普通です。

よって圧倒的に交渉力の差がある場合を
除き、両当事者が自国法/自国での紛争解決
を主張し合ってなかなか合意に至らないことが
よくあるということだけここでは覚えておいて
頂ければ十分です。

もし、あなたがもっと詳細な解説をお知りになりたいの
であれば、下記をご覧ください。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
裁判(Litigation)と仲裁(Arbitration)


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エピローグ(NDAだけでは片手落ち)

最後に、「NDAだけ締結しておけば安心か?」という
重要なポイントをお話ししたいと思います。


結論から申し上げますと、

************************************
NDAだけでは全く安心ではありません!
************************************

その理由は、NDAを締結したからと言って
************************************
なんでもかんでも秘密情報として認められる
訳ではない!
************************************

からです。


例えば、開示者(秘密情報をもっている当事者)が
大事な秘密である図面をそこらへんに工場のあちこちに
放り投げてあったら、いくらNDAを締結し、その図面の
情報が外部に漏れたときに、「秘密保持義務違反だ!」
と裁判の場で主張するのは難しいでしょう。

よって、
====================
秘密情報を管理する体制作り!
====================
が必要になってきます。

例えば、

◆秘密情報である書類には、「秘密」「厳秘」等の表示を必ず
 するように全社員に守らせる。

◆秘密情報を、「重要」「普通」「特別」などとその重要度に
 応じてランク分けする。

◆秘密情報管理規定を作成し、社内で共有する。

◆秘密情報管理担当を設置し、重要な秘密情報はこの担当の許可 
 がないと閲覧できないようにする。

◆ 重要な電子データには2重、3重のセキュリティを施し、
  必要のない社員はアクセスできないようにする

と言った感じです。

ちなみにJIS Q 27001 (ISO/IEC 27001) と言った基準は
上記のような秘密情報管理体制についてのものになります。

もちろんこれらの体制を作るのは膨大な時間とコストがかかり
ますので中小企業にはハードルが高いでしょう。

よって本格的にやるのであればTOPダウンで全社的に取り組む
必要があることかと思います。

まずは、「NDAを締結するだけでなく、上記のような体制作りが
必要である。」ということを認識しておいていただくことが第一歩
になりますので、ご参考まで。


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