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中小企業の経営者にとってその夢や信念を実現するために
必要なこと。


それは、会社を成長、発展させることでしょう。


そして会社を成長、発展させるために取られる手法の一つが、
他社とのライセンス契約です。


例えば。。。


・他社のノウハウ・技術を利用させてもらう
・自社のブランド・商標をライセンスしてライセンス料をもらう
・他社の小説をDVD・CD化して新商品を制作・販売する
・自社の特許を他社に使わせる
・他社のデザインを自社の製品のパッケージに利用する

などです。


日本の中小企業の技術で海外の企業が多額の対価を支払っても
使用したいという技術は本当に多いです。

事実、当センターも英文ライセンス契約書の作成・修正の
ご依頼が急増しています。


ライセンス契約は成功すれば、多額の利益を生みだします。

 

ところが多額の利益を生み出すがゆえにトラブルやリスクも
大きい
のです。

 

今まで、自社単独でやっていたビジネスとは比べ物になりません。

 

ましてや海外の企業が相手となればそのリスクは数倍にも

なるかもしれません。

 

そこで、英文ライセンス契約を進めるにあたりポイントとなる項目に

ついて一つ一つお伝えしていきたいと思います。

 

英文ライセンス契約に近道はありません。

 

これからご紹介するポイントを一つ一つ丁寧に自社のビジネスに

置き換え、検討していくこと

のみが英文ライセンス契約を成功に導くこと

であるということをここでは覚えておいてください。 

いきなり英文ライセンス契約の条文の説明に入る前にまずは、
そのライセンスする内容は何か?という基本的なところから
入りたいと思います。

細かい説明はできるだけ省きますので、ここではイメージだけ
わかって頂ければ大丈夫です。

 


【その1】ライセンスする物は何か?


さて、ライセンスする物を一言でいうと、知的財産ということに
なると思います。

わかりやすい例では・・・・・・・・

・製品を作る特許、技術、ノウハウ
・デザイン
・ロゴマーク、ブランド
・絵画、イラスト、写真、小説
・プログラム

などなど。

これらが権利化されると、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権
などの呼び方になる訳です。


さて、ではこれからの知的財産のやり取りを相手としようとする際に、
最初にやらなくてはならないことは何か?


それは、ライセンスする知的財産を明らかにする、ということです。
別の言い方をするとライセンスする知的財産の定義付けです。

 

**********************************************
●○●○な内容で■□な機能があって◆◇な効用
がある物をライセンスの対象とします。
**********************************************
 

という定義が当事者間で合意されて初めて、「ではライセンス料はいくらに
しましょう」、「ライセンスの期間はこのくらいにしましょう」という交渉が
できるのです。

従って、ライセンスする知的財産を定義付けするために契約書の別紙
して分厚い仕様書等を添付することが非常に多いです。

特許権や意匠権などすでに権利化されている知的財産であれば、その登録
番号で内容が特定されてますからトラブルになる可能性は少ないと思います。

しかしながら、通常のライセンス契約では権利化されていないノウハウなどの
知的財産もやり取りされてることが多いので、やはり細かい添付資料による
知的財産の定義付けが重要
になってきます。


そこまでしないと、英文ライセンス契約を進めて行く過程で、


「いや、この知的財産はライセンス契約の対象外だから
使用させることはできない!」


といったトラブルになる恐れがあるからです。


私共も業務提携のサポートをする中で、最初にライセンスの対価だけ
決まっているのに、そのライセンスする知的財産の定義がきちんと
当事者間で明確になっていなかったために、トラブルになった例を
何度も見てきました。


以上のようにまずは、

英文ライセンス契約でライセンスするものは何か?

というところを抑えるようにしましょう!

全てはそこからです。

 

 

【その2】ライセンスされた物で何ができるのか?

ライセンスされた物が明確になった後は、それを使って何が
できるのか?という点について明確にしていきます。

 

・製造か?
・販売か?
・建設か?
・保守か?
・修理か?


ライセンスされる物によっては、「製造は許可するけど、販売は許可しない!」
などと細分化してライセンスするケースも数多くありますので、きちんと交渉
して明確しておくことが重要です。

条文では、下記のように規定して行きます。

◆Grant of License(使用許諾)

Licenser grants Licensee an exclusive license and right to
use (ライセンスするものの定義を規定、例:Technology)to 
manufacture,design, have manufactured,designed,use,
sell or lease the Products.

ライセンサーをライセンシーに製品を製造・設計し、(第三者に)製造「・設計させ
使用、販売また賃借するための独占的な使用の権利を許諾する。

ライセンシーからしてみればライセンサーが本当に
そのライセンスをする技術やノウハウ等の権利者であるか?
については必ずチェックしておいた方が良いです。


「権利者であるのは当たり前でしょ?」

とあなたは思うかもしれません。


でも当たり前ではないのです。

例えば、この記事を書いている時点ではあのアップルが
中国でiPadの商標権侵害で訴えられています。

アップルと言えども時と場合によっては、権利者でない
こともある!という良い例だと思います。


特許や商標などの登録制度がある知的財産権であれば
まだ、特許庁のホームページで確認したりできるのでまだ
比較的容易に確認ができます。

ですが、ノウハウや著作権など、は登録された公式のもの
がないので、ライセンサーが独自に確認するこは非常に
困難です。

ひょっとするとライセンサーは元々の権利者ではなく単に
第三者からライセンスされた知的財産権を使用している
だけかもしれません。

そして、悪意はなくてもそのことを忘れてしまい、知らず知らず
にライセンシーにライセンスしてしまうこともよくあります。

またこれは非常によくあるケースなのですが。

=========================
社長個人が発明家でたくさんの特許を持っているが
ライセンス契約自体は自分の会社名で行うケース
========================= 

があります。

これなども、社長がその会社の代表取締役でいる間は
何の問題もありませんが、例えば取締役会で社長が
追放されたしまった場合などは大きな問題となります。

会社名でのライセンス契約が継続している場合、
その社長が、「そのライセンスしている技術は俺のものだ!」
と主張して争いになり、ライセンシーがそれに巻き込まれる恐れが
ありあす。 

 

よって

ライセンシーの立場としてはきちんとそのような紛争に

備えてライセンサーに保証してもらうようにしましょう。

ここではライセンスをどこの地域(国)で行うか?についてお話します。


前の記事で、「ライセンスするもの」についてあまり検討がされて
おらずトラブルになるケースが多い、というお話をしました。



ところが、「ライセンスをどこの地域(国)で行うか?」に関しては更に
検討がされていないのが実情です。

 
日本の中小企業にありがちなのが、
「日本以外だったら世界中どこでも使える」というような
条件にして
しまっても、あまり気にしない方が多いのです。

もちろん、ランセンシー(ライセンスを受ける側)の立場としたら、
世界中どこでも自由にライセンスを受ける技術等の知的財産を
使用できる方が良いです。

だから単純に、できるだけ広い地域でランセンスを受けることだけ
考えれば良いのです。



ところがライセンサー(ライセンスをする側)はそうは行きません。


ここは、ライセンスする技術をどのように経営に生かして行くか?
という事業計画の問題になります。


一担当者の思いつきで決められるような単純な問題では決してない!
ということです。 


絶対の正解はありません。


ですが、自社の事業計画と照らし合わせてどのような地域(国)にしたら良いかを
考える事は長期的な会社の成長・発展のためにはとても大切なことです。

 

ライセンサー(ライセンスをする側)が安易に「世界中どこでも使用可能」という
条件を飲んでしまい、後から魅力的なライセンシーがある国で見つかったけど、
契約することもできず泣く泣く諦めた、という事例もあります。 
 

「世界中」というようにしてしまっても良いのか?
「マレーシア、シンガポール、中国」というように少し限定するか?
「北京」「上海」「クアラルンプール」というように行政区単位にするか?
更に細かく分けるか?


是非、経営的な視点で検討してみてくださいね。
 

また、ライセンス地域が広がれば広がる程、リスクは高くなります。

 
例えば、日本以外の地域の場合にそこでの商標登録はされているか?
または他社の商標権侵害をしていないか?更に偽物などの権利侵害品
に対して対策がとれるか?ということです。

これは通常で考えれば、ライセンスをするライセンサーの義務になること
が多いですので、安易に儲かるからという観点で地域を拡大すると痛い目
にあいます。

 
更に細かい話ですが・・・・

例えば中国だけのライセンス許諾をしたとして、ライセンシー
が海外への輸出を事業とする企業へライセンス商品を販売した
としたらどうでしょうか?

地域外へのライセンス商品の流出は防止できないですよね?

よって、地域外へのライセンス商品の販売をライセンシーのみ
ならず、その先のユーザにまで禁止するようなことも検討すべき
です。

ちなみに条文としてはそのほとんどが「Definition」の中で、
「Territoy」という定義を作って英文契約書上に規定するのが
多く見られます。

◆Definitions 

  Territory shall mean the Malaysia and Singapore.
  契約地域はマレーシアとシンガポールとする。

ここでは英文ライセンスの形態として、独占権についてご説明します。


独占権については英文ライセンス契約の最も重要なポイントと言えるでしょう。


一言で言うと、1社のライセンシーだけに独占して技術・ノウハウ等の
知的財産を使わせるか否か?という問題です。


ここはある意味、最も契約交渉が厳しくなるところかもしれません。


ライセンシーにしてみれば、ライバルと差をつけたい訳ですから、独占的に
ライセンスを受けたいです。

ライセンサーにしてみれば、リスクヘッジのために複数のライセンシーと契約
したいですよね。


★ここで非常に重要なポイントがあります。

この「独占か否か?」については、ライセンス契約交渉の他の条件とのバランス
を考えて総合的に考えなければならない!!!


という事です。


話をわかりやすくするためにライセンサーの立場に立ち、独占的なライセンスを
与えたケースのことを考えてみましょう。

独占権を与えた見返りに下記のような条件を付けるよう、ライセンシーに要求する
のではないでしょうか?

 

*********************************************
・ライセンス料の上乗せ
・1年間における最低ライセンス料の保証
・競合取扱い製品の取扱禁止
・独的ライセンスの使用地域の限定(例:東京都内のみ独占)
・ライセンス期間の短縮

*********************************************


などです。

独占権を与えた1社からしかライセンス料が入ってこない訳ですから、
それなりの金額は欲しい所ですし、また万が一その1社のパフォーマンスが
悪いときのために地域限定や期間の短縮は当然考えるべきポイントです。


こうやってポイントを整理してみると、「そうだよねー当然だよね」と思うかも
しれませんが、実際の交渉の場に立ってしまうと、忘れてしまう人がとても
多いのです。


繰り返しますが、「独占か否か?」は他の条件とのバランスで総合的に
判断するポイント
ですので、きちんと全体的なライセンス契約交渉戦略を
固めてから、交渉に入るようにしましょう! 


一般的には、ライセンス料は数字の調整だけですぐに変更できるので
独占権を含む他の全ての条件の交渉が終了してから最後に交渉する
のが都合が良いことが多い、と一般的には言われています。

条文では、下記のように規定して行きます。

◆Grant of License(使用許諾)

Licenser grants Licensee an exclusive license and right to
use (ライセンスするものの定義を規定、例:Technology)to 
manufacture,design, have manufactured,designed,use,
sell or lease the Products. 
ライセンサーをライセンシーに製品を製造・設計し、(第三者に)製造「・設計させ
使用、販売また賃借するための独占的な使用の権利を許諾する。


◆Minimum Royalty(最低額ロイヤルティ)

An annual runnning royalty of three percent (3%) of
Licensee's Net Selling Price of Products used,sold,leased,
or otherwise disposed of by Licensee, which in any case
shall not be less than 10,000 USD, for each contract year
commencing on the Effective Date of the aniversary date thereof
during the term of this Agreement shall be paid within thirty (30)
days after the end of each calendar year. 
本契約の発効日または(翌年からは)その応答日から起算して毎年
ライセンシーによって使用、販売、リースまたは他の方法で処分された
製品の準販売額の3パーセントあるいは1万USドルのいずれか多い方
の金額を、各契約年度終了の日から30日以内に支払うものとする。 

 ◆競業避止義務(Restraint Competition)

ここでは、下記の2つのポイントについてご説明します。

サブライセンスできるか否か?
第三者に譲渡できるか否か?


これは前回の「独占か否か?」比べればほとんど交渉のポイントには
ならないです。


なぜならば、9割以上の確率でサブライセンス譲渡の権利がライセンシー
に与えられることはないからです。


ちなみにサブライセンスというのは、

*********************************
ライセンサーライセンシーサブライセンシ
*********************************

というように、ランセンシーが受けたライセンスを更にサブライセンス料を
徴収して、第三者(サブライセンシー)にライセンスする

というものです。


言わば又貸しですね。


ライセンサーとしては、検討に検討を重ねて業務提携のパートナーとして
ライセンシーを選んだ訳です。

よって、それを勝手に又貸しにような形で転用されては困る訳です。

譲渡なんて言ったら尚更です。


ここだけ見てもわかるように、余程特殊な事情がなければ、ライセンサー
としては認める訳にはいかないですよね。



また、秘密情報や知的財産権の保護の問題もあります。



ただでさえ、ライセンシーに対してきつく秘密保持義務や知的財産権を
侵害しないように管理するのは大変な仕事なのです。

それがサブライセンシーが登場してしまったらどうなるでしょう?

もう完全にコントロール不能ですよね?

更に突っ込んだ実例を紹介しましょう。

 

例えばライセンシーとサブライセンシーが親子会社の関係にあり、かつ
ライセンシーの製品売上3%をライセンサーに払う、という条件になっていたら
どうでしょう?

ライセンシーのところでは、売上は全く上がらない形にして、全て子会社である
サブライセンシーのところでライセンスされた技術を使って製品の製造販売が
可能ですよね。

 

そしてライセンサーにはほとんどライセンス料は入らない。。。

 

なんて恐ろしいことが起こりうる訳です。


従って、ここではもしあなたがライセンサーの立場であったとしたら、
「余程のことがない限り上記の①サブライセンス②第三者への譲渡
「認めてはならない!」
という事だけ覚えておきましょう。

 

条文の例(サブライセンスと譲渡を認めないパターン)

Licensor hereby grants to Licensee during the term of this Agreement,
an exclusive and transferable right and license, without the right to
grant a sublicense, to use the Information for the purpose of manufacturing
of the Licensed Products.  

ここでは、ライセンス情報の開示/提供方法・時期についてご説明致します。


ある情報を「ライセンス(使用許諾)」する、と言うのは簡単ですが、具体的には
どのような形で行うのでしょう?


一般的なライセンス契約書上で見られる記述例としては。。。


**********************************************
本製品の製造・販売に関し、必要な情報を提供する。
**********************************************

と非常に簡単に一言で済ましている例もあります。

 

「とにかく何でもかんでも必要な情報はライセンスOK」ということで、ライセンサーが
問題がなければこれでも良いかもしれませんね。


でも、本当に貴重な付加価値の高い情報であれば、以下のように具体的に、
「何を提供するのか?」を限定することが重要です


①何を提供する?

具体的には下記のように書きます。

・「別紙Aに定める書類を提供」と契約書本文に書き別紙Aを添付。
・図面、設計図、仕様書、などとに提供する物を規定。
・CD/DVD又はメール添付によるなどど提供媒体を規定。
・ロゴ/デザインなどの場合は写真/イラストなどを添付


②翻訳はどうするか?

海外との企業のライセンス契約であれば、翻訳が必要になることもあります。
その費用は馬鹿になりません。

どちらの当事者が負担するのか?も要検討です。

③いつ提供するのか?

ライセンシーの立場としては契約締結後いつまでたっても
情報が開示されなければ困ってしまいますので規定します。
通常は「本契約締結後○○日以内」とするのが多いです。

◆文例 

1.WIthin sixty (60) days after the efffective date of this Agreement,
  Licensor shall furnish Licensee all the materials of the Licensed Information
  described in Exhibit A, all of which shall be written in English and sent to
  Licensee by registered airmail.

2. During the term of this Agreement, Licensor shall, at the request of
    Licensee, furnish Licensee with additional data, information or improvements
    relating to the Licensed Products or the Licensed Information.

 

ここからは、ライセンス料(ロイヤルティ)についてご説明して行きます。


★ここは最も重要なポイントです★

ビジネスの内容によっては巨額の利権が絡みます。
ここをどのように設計するかによって他の条件も連動して変わってきます。

例えばライセンサーの立場からすれば。。。
*************************
ライセンス料は高くする。
*************************

その代わりに

*************************
独占的ライセンスを与える。
契約期間は短い半年間にする。

*************************

 

などの組み合わせの設計が必要です。


ライセンスされる情報の価値、事業計画など、様々な要素を一つ一つ検討し、
総合的に判断するようにしましょう。
絶対的な正解というものはありません。


下記に代表的なライセンス料の条件を書きますので、自分のビジネスにとって
どれが最適かを考えてみてください。


ライセンシーのライセンス実施度合いに応じて払う
(Running Royalty)

 ライセンスした技術等を実施して製造・販売 した製品1個あたりの販売額の
 ○○%とする、 というように決めていきます。

 この場合、ライセンス料の計算の元になる、 「販売価格」について細かく定義
 しておくことも重要なポイントになります。 

 ********************************************************

 (例)
 「販売価格」とは、ライセンスした技術を実施して製造・販売した額から、
 下記の費用項目を差し引いた金額を指すものとする。

 ・消費税
 ・関税
 ・運送費、梱包費、保険料、倉庫保管料
 ・返品を受けた製品の代金
 ・値引額
 ・リベート
 ・原材料・部品代
 ・その他

********************************************************

◆文例
Net Sales Price shall mean the invoiced price on a sale of Products
by Licensee in Territory , less sales taxes, inspection costs, packing costs,
transportation costs, storage costs,insurance costs if insured, 
credit on Products returned, and usual trade discounts.


★★重要ポイント★★

ライセンサーにとって最も重要なチェックポイントがここになります。

もし、ライセンシーが上記の費用を不当に高くしてしまったらどうなるでしょうか?

当然ライセンス料が低くなってしまいますよね!

この手のトラブル/裁判例は過去にいくつもあります。

従って、ライセンシーの計算根拠が怪しいときは監査できるような権利を保持
しておかなければなりません。

 

でも、実務上監査してもなかなかわからないときも多いのです。

 

よって、ライセンサーとしてはできるだけ上記の費用の項目を減らし、
できるだけGrossの販売価格に近付けるよう交渉することは、
最も重要なポイントと言えるでしょう。

理想的には、上記の販売価格は費用項目は全く考慮せずに
純粋に「売上高」というようにした方が有利だし、両当事者で
誤魔化しも効かなくなるので、遠藤はお客様にお勧めしています。


では上記のように「売上高」ベースにすれば全てが安全か?

実は、安全ではない場合があるのです。

例えば、ライセンシーがライセンスされた製品をサービス製品
としてたたき売りをし、抱き合わせで自分の高額商品を販売する、
なんてビジネスモデルがあり得ます。

1円販売などのケースがそうです。

===========
1円×10%=ライセンス料 
===========

などという計算式でライセンス料を計算されては
ライセンサーとしてはたまらないですよね?

よってこの場合は例えば、製品製造原価を使うとか
売上高とは別の計算の元となる数字を使用することに
なります。 

更に、ライセンシーとして重要なポイントとしては・・・・

*******************************
ロイアリティの発生時期を厳密に決めておく
*******************************
ということがあります。

単に売上高と言っても、下記のいずれのタイミングのことを言うのか
違ってきますよね?よって下記の項目まで考慮して、「ロイアリティの
発生時期」を決めておくことが重要になるでしょう。

◆製品の販売契約締結時
◆製品の引渡時
◆所有権移転時
◆受入検査完了時
◆代金請求時
◆代金受領時

ランニングロイアルティーに引き続き代表的なロイヤリティーの条件について
ご説明します。

自分のビジネスにとってどれが最適かを考えてみてください。

①頭金として払う
 (イニシャルペイメント)

 ランニングロイアルティーとの組み合わせで良く使われます。
 ライセンサーの立場としてみれば、すでに知的財産を開示してしまって
 いる訳です。

 ライセンシーがきちんと製品を販売して、毎月のライセンス料を払ってくれるか、
 信頼関係がないうちは不安でしょうから、安心料として先にある一定割合を
 もらっておきたいところです。


★イニシャルペイメントの返金について

ここは良くライセンサーとライセンシーとの間で認識の相違があると
トラブルになることがありますので、明確にしておきたいところです。

◆理由の如何を問わず返金しない例
 The initial royalty paid from Licensee to Licensor shall not be refundable
   to Licensor notwithstanding ealier termination of this Agreement, invalidation
   of the Patent or for any other reason.

◆返金をする例 
 If this Agreement is terminated earlier than the expiration date of the original
  term of the Patent including the case of earlier termination of this Agreement
  due to invalidation of the Patent, the amount of ratio of the original remaining
  term of this Agreement among the initial royalty paid from Licensee to Licensor
  shall be refunded to Licensor within XX days from the date of such ealier termination.

 

 

②一括して払う
 (ランサムロイアルティ)

 まさに1回限りの支払でライセンス料の支払完了する形です。両当事者が
 合意に達すればこのような形でも全く問題がありません。

  金額にもよりますが、ライセンサーにとっては一気にライセンス料の回収が
 図れます。

 またライセンシーにとっても、ライセンスされた技術・ノウハウ・ブランドを使って
 製造・販売した商品・サービスがたくさん売れてランサムロイアルティーを回収
 できてしまえば、大きな利益をあげることができます。

 企業間のソフトウェアの著作権ライセンスなどはこの形が多いようです。


③最低ライセンス料を払う
 (ミニマムロイアルティ)

 ライセンス料がランニングロイアルティのみの場合にライセンシーがライセンス
 された技術を使って製品を製造・販売しなければライセンサーの収入は「0」です。

 この場合、独占的なライセンス契約を締結していたとしたらどうでしょう?

 他社にライセンスすることができない訳ですからライセンサーの収入は、
 完全に「0」
です。 

 従って、独占権を与えたケースにおいて通常は ライセンサーとしては
 ライセンシーの製品販売額に関係なく、最低限のライセンス料(ミニマムロイアルティ)
 を支払うよう要求するのが普通です。

 一口にミニマムロイアルティと言っても色々なバリエーションがあります。

 例をご紹介しますので、自社にとってベストな形は何か?を是非検討して
 みてくださいね。


(a)ランニングロイアルティに追加して払うパターン

  例えば、ミニマムロイアルティを100とする
  ランニングロイアルティ=70の場合⇒合計170を払う

(b)ランニングロイアルティと選択的に高い方を払うパターン
 
  例えば、ミニマムロイアルティを100とする
  ランニングロイアルティ=70の場合⇒100(ミニマムロイアルティ)を払う
  ランニングロイアルティ=150の場合⇒150(ランニングロイアルティ)を払う

(c)ランニングロイアルティに充当して払うパターン

  例えば、ミニマムロイアルティを100とする
  ランニングロイアルティ=150の場合⇒差し引いて50を払う

 

参考になりましたでしょうか?

 

ライセンサーの立場が強ければ、ミニマムロイアルティを毎年増額するように
交渉するパターンもあるようです。

上記を参考に色々な数字の組み合わせを契約交渉前にシュミレーションして
みることがとても重要な事前作業になりますのでぜひやってみてくださいね。

【条文例】 

◆ ランサムロイアルティ
In consideration for the rights and license granted under this Agreement,
Licensee shall, within thirty (30) days after the Effective Date, pay to
Licensor a one-time royalty of Seven Hundred Thousand United States
Dollars (USD 700,000).

 

◆ イニシャルペイメント
In consideration of the grant of the rights and licenses and the
supply of the Licensed Information by Licensor to Licensee under
this Agreement, Licensee shall pay to Licensor as follows.
i) An initial payment  Seven Thousand United States Dollars (USD 7,000)
   shall be paid within twenty (20) days after the Effective Date of this
   Agreement. 

 

ミニマムロイアルティ
An annual running royalty of three (3) percent of Licensee's 
Net Selling Price of the Licensed Products used, sold, leased
or otherwise disposed by Licensee, which shall not be less than
Seven Thousand United States Dollars (USD 7,000), for each
contract year commencing on the Effective Date or the anniversary
date thereof during the term of this Agreement shall be paid within
thirty (30) days after the end of each contract year. 

ここでは、ライセンス料の支払方法等の経理的なポイントについてご説明します。 

 

①計算期間/支払時期

ライセンス料をどれくらいの単位の期間で計算し、どのタイミングで支払うのか?

このポイントは資金繰りとも密接に関連してくるので、かなり重要なポイントですよね。

ライセンシーの立場としてみれば・・・

ライセンスされた技術を使って製造・販売した製品の代金回収が終わった後
タイミングでライセンス料を支払う、というようにしないとかなり苦しいことになるでしょう。


良く見る例としては。。

・計算期間:四半期毎
・支払時期:毎四半期の翌月末日

などですが、ビジネスの内容によって変わってきますので、十分に検討しましょう



②支払通貨

海外との相手方とのライセンス契約では必ず、要検討です。

例えば、円建てのライセンス料をUSドルで支払うような場合は、
「いつ」の時点の「どの」種類の為替レートを用いて換算するかきちんと
決めておきましょう。



③銀行手数料

海外企業との取引における銀行手数料の話は意外と忘れがちです。

全て相手持ちとするのがベストですがそうもいかない場合もあります。

送金ルートにおいて、どの国でどのような手数料が課されるのかを良く調査し、
自社が不利にならない条件を契約書に落とし込みましょう。

◆条文例
 ・四半期ごとにライセンス料を計算
 ・日本円での支払
 ・電信送金払い
 ・ 源泉税の処理

The running royalty shall be paid quarterly, for the three (3) month period
ending with the last day of March, June, September and December of each
year , on or before the last day of April, July, October of each year and next
January respectively. 

All payment shall be paid in Japanese Yen and by wire transfer to the bank
account in Japan designated by Licensor.

Licensee may duduct withholding taxes from the license fee and royalties
payable to Licensor and shall send to Licensor a tax certificate showing
the payment of such taxes for the purpose of Licensor' s tax relief. 

ここでは源泉税(=Withholding Tax)についてご説明します。

 

源泉税については、今までご説明してきたポイントと違い、特に事前に
何か検討して準備する、ということはありません。

 

ですが、知識としてきちんと理解しておかないと大変なことになります!!


ライセンス料に係る源泉税について「初めて聞いた」という方のために
簡単に仕組みをご説明します。

 

仮にあなたの会社がライセンサーで海外のライセンシーに
技術をライセンスすると考えてください。 


例えばライセンス料が100、源泉税率が20%だとします。

その際、ライセンシーがライセンス料100から源泉税額20を控除して80を
ライセンサーに支払い、(ライセンサーのために)源泉税額20を税務署に
納付するのが基本です。

あくまでも事務手続き上、納付行為をライセンシーがやっているだけで、
金銭的負担という意味ではライセンサーがすべきものです。



ライセンス料というライセンサーが受け取る収入にかかる税金な訳ですから。

 

丁度、会社が従業員の給料から一定額を毎月源泉徴収し、残りを支給するの
に似ていますよね。

 

そして、ライセンサーとしては年度末に確定申告して、源泉された源泉税額と
自社の法人税との調整をする、という仕組みになっています。

特にあなたが日本の会社で海外の企業にライセンスする場合は、
9割以上の確率で、現地で源泉税を控除された、残りの金額が
ライセンス料として振り込まれると思っていてほぼ間違いないと思います。


この場合は、ライセンシーがあなたの会社のために現地の
税務署に納税した「源泉税納付証明書=Certificate」を確実に
もらっておくことがとても大事です。それをもって日本の税務署での
申告で使用することになります。

この証明書をもらっておかないと、
×海外で源泉税20%を控除され
×国内でも残りのライセンス料について法人税が課税される

というダブルパンチをくらうことになります。

◆条文の例は下記の通り。

Licensee may deduct withholding taxes from the license fee
payable to Licensor and shall send to Licensor a tax certificate
showing the payment of such taxes for the purpose of Licensor's tax relief.

 

今度は逆にあなたの会社がライセンシーの場合を考えてみましょう。
同様にライセンス料が100、源泉税率が20%だとします。 

 

海外のライセンサーの中には、源泉税額20を控除されると手取りが減り、

資金繰りが厳しくなるので満額100をもらいたがる企業がいます!

そこで、契約交渉の中でライセンス料の金額交渉が終わった後に、
「源泉税はライセンシー側が負担すべきだ!」などと言ってくる輩がいます。

 

これを上記の数字を使って当てはめると、あたかもライセンス料が125発生した
ものとして、源泉税率20%を控除し残りの100をライセンサーに支払うことに
なります。

 

そして25(=125の源泉税率20%)をライセンシーが税務署に納付する、
というからくりです。


これはおかしいですよね!!!


ライセンス料の金額交渉では100ということに合意したのに、いつのまにか
125になってしまったのと同じことです。

 


上記のような結果にならないためには。。。

*******************************************

★源泉税の趣旨についてきちんと理解しておくこと
★ライセンス料の金額は死守すること

*******************************************

が必要になります。


繰り返しになりますが、源泉税の問題は非常に大きなインパクトがありますので、
慎重に交渉するようにしましょう! 

何か少しでも不明点があれば、税金に詳しい人に確認しましょう。


ちなみに国税庁の下記の電話相談センターでは海外の企業との
ライセンス料の源泉税についてかなり懇切丁寧に無料で教えてくれますので
一度電話してみることをお勧めします。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://www.nta.go.jp/tokyo/guide/zeimusho/tokyo.htm 

ここでは、レポート/監査権についてご説明します。


実は、このお話が最もトラブルになるケースが多いです。


通常、ライセンシーはライセンスされた技術を使って商品を製造・販売後、
下記の項目についてライセンサーにレポートをするものです。


*****************************************
①売上高
②費用
③売上高−費用
④利益
⑤利益×ライセンス料率
⑥ライセンス料
*****************************************

ここで、ライセンシーが故意または間違って①売上高や②費用を
実際の金額とは
異なるものをライサンサーにレポートするのが
トラブルの始まり
です。


まだ、ライセンス料の計算条件が「売上高の○○%」という条件であれば、
トラブルは少ないかもしれません。


でも上記のように「利益の○○%」という条件だと、ライセンシーの方でいくらでも
費用を積み増しして計算することが可能なのです。


でも、こういうことって、不思議とすぐにライセンサーにバレルものです。


ライセンサーとしては、もはやレポートだけでは信頼ができないので、
公認会計士等をライセンシーのオフィスに送り込んで、上記の
①売上高②費用が正しいかどうかを監査するのです。


従って、ライセンサーにとって最低限ライセンサーからレポートを提出させ、
それが疑わしい時は監査する権利を最初の契約交渉で確保しておくこと
は必須項目と言えます。 

欧米のアンケート調査結果によると、監査案件のうち70~90%の案件
で、ロイヤリティの計算ミスが見つかっているそうです。(淵邊善彦・吉野
仁之著「ロイヤリティの実務ライセンスビジネスでの契約と監査のノウハウ」
(中央経済社、2008、P89)

計算ミスの原因として、「対象商品」「控除するコスト項目」「子会社・関連会社
との取引」に関する契約書の取決めが曖昧であったことが多いようです。

更に監査について下記のように厳密に定めることもあります。

◆監査の方法(書類コピーも可?、ヒヤリングも可?、監査できる範囲は?)
◆監査の期間(契約期間中および契約終了後も?、何度も同一書類で監査可?)
◆監査費用はどっち負担?(レポート記載の金額とある一定額以上の乖離があったときは?)
◆違反の効果は?(レポートとの差額負担?契約解除?ペナルティ?)

 

遠藤は今までこの監査権の記載のないライセンス契約を見たことがありません。
もしあなたがライセンサーの立場であれば、必ず記載するようにしましょう!


一方で、通常、ライセンシーとしてはライセンサーに帳簿をガサガサと
見られのが
いやなので、短絡的に監査の条件を拒否することが多いです。

しかし逆に
考えてみると、積極的に「当社はきちんとやっていますので
どうぞ監査してください!」
とライセンシーの方から積極的にライセンサーに
監査の権利を提案する事で当事者間での
信頼関係が構築できるという事も
あるようですので、あなたがライセンシーの立場で
あってもよくよく検討される
ことをお勧めします。



◆条文例

Report and record

Licensee agrees to make a written report to licensor within
thirty(30) days after the end of each calendar quarter, ending
with the last day of March, June, September and December during
the term of this Agreement. The report should show the number,
description and Net Sales Price of Products sold or otherwith
disposed of as well as the amount of running royalty under the license
granted herein for the calendar quarter.

Licensee shall keep full, clear and accurate files, books and records of

account containing all the data required for full computation and verifiaction
of the amount to be paid and information to be given in the statements provided
for herein.

Audit 

Licensee shall permit Licensor or its accredited representatives to examine
and audit all such books and records during normal business hours for the
sole purpose determining the license fee and royalties payable to Licensor
under this Agreement.

Licensor shall have the right to have such audit made at Licensor's expense
by independent certified public accountants designated by Licensor. 



なお、監査権を認めるとしてもその期間を限定することは考えられます。例えば
上記の第1項は下記のように変更できるかもしれません。

Audit (監査期間付)

Licensee shall permit Licensor or its accredited representatives to examine
and audit all such books and records during normal business hours for the
sole purpose determining the license fee and royalties payable to Licensor
under this Agreement during five (5) years from the deadline of the payment
of the license fee and royalties.


Licensor shall have the right to have such audit made at Licensor's expense
by independent certified public accountants designated by Licensor. 

ここではTechnical Assistance 「技術指導」の条件についてご説明します。

 

ある有益な技術・ノウハウを「ライセンス(使用許諾)」してもらったら、
すぐその日から使えるようになる、と言うことであれば話は簡単です。


でも実際はそうはいかないことも結構多いのです。



例えば新しいソフトを買ったときも、使い方がわからなくて
電話サポートセンターに連絡したりしますよね。


ライセンス契約でも全く同じです。


しばらく慣れるまでサポートが必要になること
がほとんどです。


だからライセンサーから技術指導を受けるための
条件を詳細に決めておくのがとても重要
なのです。


大きく分けて下記の2パターンがあるでしょう。

**************************************

①ライセンサーがライセンシーの工場等に、
 技術者を派遣して指導
②ライセンシーがライセンサーの工場等に、
 技術者を派遣して訓練を受ける

**************************************


ほとんどが①になることが多いようです。


更にライセンサーの技術者を派遣するにあたり下記のような条件を決めて
おくことが必要になります。

****************************************
①指導内容
②指導期間、指導時間、週労働日数
③派遣技術者の人数
④派遣料(1日あたりいくら?超過時間・深夜指導料は?)
⑤旅費、宿泊費、交通費、日当、通信費、 ビザ取得費用の負担

****************************************


上記の例に限らず技術指導を行うために何らかの費用が発生するときは、
逐一取決めをしておきましょう。

 

また、ライセンス契約本文中には、「技術指導に係る条件に関しては別途契約
して定めることとする」として、技術指導の部分を別にして詳細に取り決めることも
良く行われます。

 

実際ライセンス契約が締結されても、技術指導が始まるまでには、色々と準備が
必要なので、締結日以後すぐに技術指導を開始しなくても良いことも多いです。



よって交渉時間がなく、先にライセンス契約だけを締結してしまいたいときなどは、
別途契約するのも有効な手段と言えるでしょう。

 

しかし、この場合結局後になっても技術指導の条件について決めることをせずに
なし崩し的に実際の技術指導が始まってしまい、トラブルになるリスクもあります
ので注意が必要です。

◆条文例

Technical Assistance

Upon request of Licensee, Licensor shall provide to Licensee and
/or to a sublicensee designated by Licensee("Sublicensee"), qualified personnel
of Licensor to render technical assistance and services to employees
of Licensee and/or Sublicensee, in connection with the engineering, design or
manufacture of Product for a reasonable period to be agreed upon between
the parties, provided that the total period of such assistance and services
shall not exceed ninety (90) man-days. 

ここではImprovement(改良技術)についてご説明します。


ライセンサーは元々ライセンスした技術の開発者です。

よって日々修正向上を加え、ライセンス後もさらにバージョンUPした
技術が生まれる事があります。WindowsのOSが良い例です。

一方、ライセンスされた技術をライセンシーが使用しているうちに、
新たな気づき/ノウハウが生まれ、その技術が改良されることもあります。


そのようにして生まれた、「改良技術」について、両当事者の考える事は
普通は下記のとおりです。


①ライセンサー

 【自ら改良技術を生み出した場合】
  ライセンシーに追加でライセンスして追加ライセンス料
   を請求したい。またはもっと別のライセンシーを探し出して
   ライセンスしたい。

 【ライセンシーが改良技術を生み出した場合】
 自らがライセンスした技術が元になったのだから
 ライセンサーにその使用の権利があるようにしたい。


②ライセンシー
 【自ら改良技術を生み出した場合】
 逆にライセンス料を取って、ライセンサーまたは
 第三者にライセンスしたいと考える。

 【ライセンサーが改良技術を生み出した場合】

 ライセンサーの改良技術も全て追加ライセンス料
 の支払なしに、使用したいと考える。

 

実務上は契約の時点で、どれくらい価値がある改良技術が
生まれるか予想するのは結構難しいです。 従って、ライセンス
する技術の価値やライセンス料にもよりますが、実務的には、

「改良技術が生まれる度に両当事者でその取扱いに
ついて協議する」とか「相互に非独占的実施権を許諾する」


といった無難な条件にすることが多いようです。

◆条文例

Improvement/Grant-back

1. Each party agrees to inform each other of any developemt or
improvement made in connection with the Licensed Information
relating to the Products, and disclose, at the other party's request,
details of such development or improvements.
両当事者は、製品に係るライセンス情報に関連する開発・改良について
互いに相手方の要請のあるときは、当該開発・改良についての詳細を相手方に
連絡するものとする。

2. Licensee shall have a right to use such development or improvement

made and disclosed by Licensor without payment of any additional royalty.

ライセンシーはライセンサーによってなされ、開示された(ライセンス情報の)開発・

改良情報について、何ら追加のロイヤルティの支払なしに使用する権利を有するものと

する。

3.Licensee shall, at the request of Licensor, grant to Licensor

a non-exclusive license to use such development or improvement made

and disclosed by Licensee in the Territory under the terms and conditions

to be mutually agreed upon between the parties.

ライセンシーはライセンサーからの要請があるときは、ライセンシーが行った

開発・改良情報をライセンサーに対して、両当事者間で合意する条件でテリトリーで

非独占的に使用する権利を許諾するものとする。

ここでは、

======
原材料の供給
======

についてお話します。


これは主に、ライセンスした技術を使って何か製品を製造する時の話です。

 

ライセンサーは製造技術を持っており、一方ライセンシーが製造工場を
持っているとします。

 

このような場合、ライセンサーがライセンシーに製造技術の使用をライセンス
してライセンシーに製品を製造させ、その製品を逆にライセンシーから
購入して販売しようと考えているケースがあります。

 

いわゆる、「行って来い」というやつです。

 

この場合、ライセンサーとしてはライセンシーが、自分のライセンスした
製造技術の品質レベルを満たす、製品を製造してもらわないと困ることに
なりますよね?

 

また、別のケースで、たとえライセンサーが販売を行わず、ライセンシーが
そのまま製造・販売するにしても、品質の悪い製品が市場に出回ることにより、
結局は自らの看板が傷つく可能性も考えられます。


従って、ライセンシーが製品を製造する際に、ライセンサー又はその指定業者
から部品/原材料等を購入
するように定めることがあります。

 

また、「原材料がなんであるか?」ということ自体が貴重なノウハウでできるだけ
秘密にしておきたい、という理由で、原材料の購入先を制限することもあります。


上記のような、ライセンシーの原材料の購入先の選択の自由を妨げることを
意味もなく行うと、日本の場合、独占禁止法に触れる可能性があるので注意
が必要です。また、中国などでも技術導入関係規制法で成約を受ける可能性が
あるようです。 

 

但し、上記の例のように、「品質の確保」や「ノウハウの秘密保持」といった目的
で制限を設ける場合は、原則問題ないとされています。

いずれにしても、原材料の調達についてライセンサーとしてライセンサーに制限を
かけるときは、今一度、公正取引委員会等に確認を取ることをお勧めします。


公正取引委員会提供の独占禁止法情報はこちら


 

◆条文例

Supply of Raw Materials


Licensor shall, upon request by Licensee, supply Licensee to 
special raw materials necessary for the manufacture of 
Products as set forth in the Exhibit A during the effective term
of this Agreement. The terms and conditions of the supply of
the said special raw materials shall be separately agreed between
the parties.

ここでは

===============
品質管理(Quality Control)
===============

についてご説明します。

 


前のポイントの「⑮原材料の調達」にも関連しますが、
ライセンスされた技術、ノウハウ、ブランド等を使用して
ライセンシーにより制作・製造された製品の「品質」に問題が
あった場合、ライセンサーにもその影響が及ぶことが
あります。


そこで、ライセンサーとしては、ライセンシーの品質に
ついて何かしらの形でチェックコントロールすることが
必要になる場合が多く、例えば下記のようなことを行い
ます。

◆製品の販売前の事前チェック・承認
◆定期的又は抜き打ちの製品検査
◆定期的な品質基準検査レポートの義務付け


また、もしライセンシーが所属している各業界団体
が自主的に定めている安全基準のようなものがあれば、
それを取得する義務をライセンシーに課すことも有効な
手段なのでよく行われます。


業界の安全基準の例としては下記のようなものが
あります。

・SGマーク(Safty Goods:製品安全協会)
・STマーク(玩具安全基準:日本玩具協会)
・BAA(Bicycle Association Approved:自転車協会)
・JEMA(学校教材・教具の自主安全基準:日本教材備品協会)
・SPマーク(遊具の安全に関する基準:日本公園施設業協会)
 

また、上記のようなチェックや基準取得を行っても、
品質問題が生じたときはライセンシーに損害賠償
できるように契約書上には下記のような規定を設ける
ことが多いようです。

========================
本契約に基づきライセンシーにより製造・販売される
許諾商品は、日本における最新最良の品質基準を
満たし、ライセンシーにより製造・販売される同種または
類似の他の商品と同等の高品質を保たなければならない。
=========================


上記は全てライセンサーの立場に立った品質管理ですが、
逆にライセンサーから提供されたノウハウや技術事態が
原因で品質問題が起きる場合もあり得るでしょう。

よってライセンシーの立場としては一方的に品質責任を
負うだけではなく、ライセンサーからの提供されたノウハウ
や技術事態の安全性についての確認や契約上でのリスク
ヘッジも必要になるのですが、実際問題としてライセンサー
の立場が強い場合が多いので、その交渉は難しいケースが
多いようです。

 

◆条文例

Quality Control

1. Licensee agrees that all Products manufactured or offered for sale by it
   in Territory shall be substantially equivalent in quality and workmanship to the
   similar Products offered for sale by Licensor. Should Licensor find and determine
   that Products offered sale by Licensee are not substantially equivalent in quality
   and workmanship to those offered for sale by Licensor, Licensor shall have the 
   right to notify Licensee of such fact and to require Licensee to suspend production
   of Products until the quality and workmanship of Products shall meet the required
   quality standards.

2. Licensee hereby warrants good quality and workmanship of Products manufactured
    by Licensee pursuant to this Agreement and agrees to hold Licensor harmless from
    any and all such claims on the defects.

1. ライセンシーは、本製品の品質および仕上がりがライセンサーの販売するものと
  本質的に同等のものを契約地域内で製造し、販売しなければならない。販売に
  供した本製品の品質および仕上がりが同等でないとライセンサーが認めた場合
  にはその旨をライセンシーに通知し、かつライセンシーに対し本製品の品質および
  仕上がりが所定の品質基準に達するまで、本製品の生産中止を要求する権利を
  有するものとする。
2.ライセンシーは、本契約に基づき製造する本製品につき、適切な品質および仕上がり
  を保証し、かつ瑕疵に対するクレームからライセンサーを免責することに同意する。

ここでは

========
契約終了後の措置
========

についてご説明します。


長期に渡って、継続的に続いてきたライセンス契約も終了を迎えることがあります。
その場合、契約終了後にどのような取り決めがポイントになるのでしょうか?

 

ライセンサーとライセンシーの2つの立場からその要望事項をご紹介してみます。


◆ライセンサー◆

・ライセンシーに貸与した図面、資料等の一切の情報は
 返却又は廃棄させたい。
・未回収のライセンス料は直ちに回収したい。
・以後、一切ライセンスしていた技術等の使用は認めない。
・ライセンスした技術、ノウハウ、ブランド等に係る情報は
 一切、表に公表しないようにしたい。


◆ライセンシー

・ノウハウなどの技術は契約終了後も無償で引き続き
 使用できるようにしたい。

・ライセンスされた技術を使用してすでに製造、取引、流通
 過程にある製品/在庫については、全て販売できる権利を
 確保したい。


と言ったようなところです。


◆条文例

Effect of Termination

(1)    The defaulting party shall return any tangible including, but not limited to,   

    Confidential Information provided from the other party and shall not make further
    use of any information thereof, and the non-defaulting party shall have the right to
    claim the damages to the defaulting party;

(2)    Upon the termination of this Agreement, Licensee shall forthwith discontinue the
     use of Trademarks without any condition or consideration; 

(3)    The due date of all outstanding debt shall become automatically due and payable
    by immediate telegraphic transfer on the effective date of termination, even if
    longer moratorium had been previously provided.

(4)   Licensee shall be permitted to complete any Products in process and to sell
       , use, or dispose of any such Products or any Products in stock for a period
       of six(6) months after the expiration or termination hereof, on condition that
       within thirty (30) days of expiration hereof Licensee shall pay to Licensor
       running royalties for all Products then in process, in stock or already sold out
       but on which running royalties have not been paid. 

 

いずれにしても、契約を締結する時点から契約終了後のことまでを、考えておくこと
はとても大事なことなので、是非両当事者間で良く話し合って、契約書に落とし込んで
おきましょう。

ここでは、「損害賠償額の上限(Limitation of Liability)」に
ついてご説明します。 


通常、どの契約書にも、相手方の契約違反または債務不履行
更には契約解除により、損害を負ったときは損害賠償請求をできる旨を
規定しておきます。



でも実は実務上もっと重要なのは次の

損害賠償額の上限(Limitation of Liability)です。

日本語の契約書でも、「損害賠償額の予定」という規定をすることが
ありますが、要は当事者間で何か損害賠償をする際の金額を予め
規定しておこうとする趣旨です。

例えば、知的財産権の侵害などはなかなか防止策が立てるのが
難しく、その損害賠償額も天文学的な金額になることも少なくありません。

そのような場合、ライセンサーが中小企業である場合は一発で倒産して
しまうようなダメージを受けますのでこのような条文を挿入することが 
多いです。

逆にこの条文がないと、請求をする当事者は「いくらが妥当なのか?」
の証明をしなければならなくなりますので、都合の良い場合もありますし、
冷静に考えると相手方が潰れてしまうと自分のビジネスも危うくなるような
場合は受け入れることも選択肢として検討すべき項目ではあります。 


また裁判所も当事者間で合意した損害賠償額はその権限で
変更できない場合が多いのでこの合意を契約書に
規定しておくことはかなり大きな意味を持ちます。

◆Limitation of Liabilityの例

The aggregate total liability of either Party toward the other Party
in respect of action relating to or arising out of this Agreement
shall not exceed the amount paid by Licensee under this Agreement
during the last three months prior the cause for the claim has arisen
or USD 10,000, whichever highter. Neither Party shall be liable for any
indirect or consequential damage, including without limitation loss of 
profits, business interruption or loss of businesss information.

 

但し、もしLicenseeの立場だとして、ライセンスを受ける技術等が第三者の
知的財産権を侵害するリスクが高いのであれば、Licensorに非侵害である旨を
保証してもらうと共に、上記のLimitation of Liabilityを下記のように適用しない
ようにしたい所ではあります。

◆上記の条文に第2項として追加

2. The aforesaid limitaion of liability shall not apply to damages caused by

    willful misconduct or gross negligence, either Party's breach of agreed

    confidentiality obligations or Licesensor's breach of Article XX(Warranty).

ライセンシーに対象製品の製造権が許諾された場合、
ライセンシーは第三者に対象製品の製造を外注することが
できるか否かが問題になります。


ライセンシーではない第三者が対象製品を製造するので
サブライセンスがない場合、製造委託も禁止されるように
思えます。

また、ライセンシーには秘密保持義務が課されますので
第三者への外注と言えどもこれは禁止されていると
考えられます。

しかし製造委託の場合は下請業者をライセンシーの
手足として独立した地位を認めずライセンシーの対象製品の
製造権のおよぶ範囲としてこれを認める場合もあります。


これについてはライセンサーとライセンシーの立場は下記の通りです。

◆ライセンサー

 実際に対象製品を製造する下請業者を知っておきコントロールしたいので
 ライセンシーが第三者に製造委託する場合はライセンサーの事前の書面による
 同意を必要としたい。

(例文)

Licensee shall not have a third party manufacture the Products
for Licensee without the prior written consent of LIcensor. When
Licensee has a third party manufature the Products for Licensee
with the prior written consent of Licensor, such third party's
actions shall be deemed those of Licensee and Licensee shall be responsible
to Licensor for such third party's action.


◆ライセンシー

自由に下請け業者に対象製品の製造を外注できるようにしたいので
ライセンサーから「これは禁止されたサブライセンスだ!」と
クレームされないようにしたい。

 (例文)

Licensee may, at its sole discretion, have a third party manufacture
the Products 
for Licensee under the License. 

通常、相手方に特別な事由(例:契約違反、倒産、不渡り等)が
生じた場合に契約解除の条項を規定しますが、ここではそれ以外に
特許のライセンス契約を締結する際の解約についてご説明します。

なお、これは主に、「ライセンシー」の立場に立ったときに
検討しなければらない規定です。

(a)本特許権が無効審判により無効になった場合

  第三者より本特許の無効審判の申し立てがあり無効になったときは
  本契約を解約するケースです。

(b)ライセンサーが第三者に対し、本特許権の侵害訴訟を提起し、
   当該第三者により、本特許権の無効理由の存在により、
   ライセンサーによる本特許の行使は許されない旨の主張をし、
   当該第三者の主張が認められて、ライセンサーの請求を棄却する
   判決が確定した場合

  この場合は、本特許の無効審判の申立があった訳ではないので
  直ちに本特許権が無効になった訳ではありません。

  しかし、当該第三者は判決後、ライセンス料を支払わずに本特許権に
  係る技術・発明を使用できるのに対し、ライセンシーは以前として
  ライセンス料を支払い続けることになるので当該第三者との競争に
  おいて不利になってしまうケースです。


◆上記(b)のケースでライセンシーに解約権を認める条文

 When, in a lawsuit between Licensor and a third party, a judgment
   stating that Patent has reason for invalidity and Patent cannot be 
   exercised by Licensor against the said third party, is rendered and  
   such judgement has become final and conclusive, Licensee may  
   immediately terminate this Agreement by giving written notice of 
   termination to Licensor.

   ライセンサーが第三者との裁判において本特許権が無効理由を有して
 ライセンサーが当該第三者に対して権利行使できない旨の判決があり、
 当該判決が確定した場合、ライセンシーはライセンサーに対して
 書面にて解約通知を送付することにより、本契約を直ちに解約する
 ことができるものとする。
 

なお、特許が無効になるケースは無効審判以外にも
特許の有効期間満了などのケースもあり得ます。その意味では
「特許が無効になったときは本契約も終了する。」という形で
契約期間の規定をするケースもありますのでご参考まで。

一般的にライセンシーの立場としては、

対象製品の製造、販売に費用をかけて乗り出した訳ですので

契約の継続を望みます。

 

一方、ライセンサーの立場としては、

ライセンス技術を全て提供した後に、契約を終了されて

ライセンシーが勝手に自分で対象製品のビジネスを開始されては

困るという状況もある場合は、契約の継続を望むかもしれません。

 

逆に、ライセンシーに独占権を与えていて、1年目の成績が

思わしくない場合は契約を終了させて他のライセンシーに

乗換えたいと思うケースもあるかと思いますので、ケースbyケース

ですが。。

 

一般に継続を望みたいという場合には、下記のような条文に

「契約期間の延長の拒絶には正当な理由が必要とする。」と

いう文言を追加することが考えられますので検討してみることを

お勧めします。

 

◆継続を望みたい場合の条文例

This Agreement shall become effective from the Effective Date and,

unless earlier terminated, continue to be effective for the period of

one (1) year.  Provided, however, that the effectice term of this 

Agreement shall be extended for one more year unless one party

sends the notice of non-extention to the other party with justifiable

reason in writing, and the same applies to such extended term.

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